島津法樹さんのコラム
初出は「ハイハイQさんQさんデス」(http://www.9393.co.jp/)に
2004年8月から2005年11月まで連載された「損する骨董得する骨董」です。

第165回

儲かる骨董-実行編
李朝後期染付栗文丸壺

このコラムを楽しみながらやらせていただいて
165回が過ぎようとしています。
これからはタイトルの『損する骨董、得する骨董』
という点を重視しながら話を進めていきたいと思います。

世の中には意外な儲け口や得をした話が沢山転がっています。
それを拾うか、手放すかは実は紙一重なのです。
骨董という魅惑に満ちた不思議なものとの出会いを
単に好き、嫌いで見つめるだけでなく、
経済的な面から考えるのもまた楽しいことです。
骨董は趣味の世界なので
自分の好きなものを買って楽しむということに尽きます。
が、結構いろんな思いで作品を収集する方がおられます。
中には骨董を投資と割り切って考え、
購入される方がいるのも事実です。

そんなコレクターのスタンスを分類してみる。
骨董収集に興味のない方も、コレクターになったつもりで
次の五項目をシュミレーションすると、
経済活動においても結構当てはまることがある。

、価値に関係なく好きなものだけを選ぶ《オタクコレクター》
  ※一歩先行くタイミング

、流行を追う《ブランド志向タイプ》
  ※骨董にも時代によって流行り廃りがある。
   熱いうち、逃がすな売り時

《用いることにこだわるタイプ》-侘び寂好きの茶道具集め
  ※育てよ、磨けよ、名品は作られる

、楽しみつつ投資を考える《どっちつかずの虻蜂つかみタイプ》
  ※満足度ナンバーワン

、骨董をモノと考えるー《純粋なプロの目タイプ》
  ※執着しないで売買できる冷徹な投資家

コレクターは大まかに言ってこの五つに分類される。
1~4までのコレクターにはよく出会うし、
殆どがこのカテゴリーの中に入る。
純粋に骨董を投資として考え、購入する人には
日本で出会ったことがない。
しかし海外には結構このタイプがいて、
骨董で財をなした人もいる。
これからはこの種の人が日本でも現れるだろう。

この項では1~5までのコレクターのスタイルを
具体的に分析しながら話を進めてみよう。
株をやるにしろ、事業をやるにしろ
あなたのアイディアにきっと火が付くはずだ。
何故なら収集することは
人間の深いところに根ざす本能のようなものだから。