島津法樹さんのコラム
初出は「ハイハイQさんQさんデス」(http://www.9393.co.jp/)に
2004年8月から2005年11月まで連載された「損する骨董得する骨董」です。
第28回
商品学(中国陶磁編)
1.土器−本当に難しい買い時

世界の殆どの地域において、土器は新石器時代頃に生まれている。
中国文化においても、
おおよそ紀元前5500年ほど前に土器は生まれ、
紀元頃まで焼き物の主流として焼成され続けた。
特に中国においては黄河流域に土器の製作が集中している。
磁山文化、仰韶文化、竜山文化、大口文化など
土器の製作を行った古い新石器時代の遺跡がある。

嘗て二十年ほど前は、
これらの土器作品はきわめて古い年代と特徴的な絵付けから
世界の美術館や著名なコレクターが
入手しようと様々な努力を払った。
その時は市場に出回る作品も少なく、
バラバラに割れて補修した作品でも、
ちょっとしたものであれば
数百万円の単位で取引されたものだった。

しかし解放改革が進む中国黄河流域において、
膨大な量の発掘が行われ、
十五年ほど前から香港や日本のマーケットにおいて、
土器はだぶつき気味だ。
したがって値段も下降の一途を辿っている。
骨董とは数の少ない極めて貴重なものであれば、
その値段は天井知らずに上がっていくものである。

中国の広い大地の中で数千年にわたって製作された土器の数は
底知れないものがある。
しかも今後もそれらの土器がまだまだ発掘され、
マーケットに出回ると思われるため、
嘗ての価格を回復するのは当面難しい。
土器に興味を持つ人はこの機会がチャンスかもしれない。
安くて貴重な作品が次から次へと市場に出てくるから、
できるだけ破損のない、完全なものを
良く選んで買い付けることが大切だ。
買い付けるときの2,3の注意事項を記しておこう。

指に水を付け、あるいはティシュに水を含ませて
さっと表面を掃く。
オリジナルな土器の表面はスーッと水を吸い込む。
直しや後絵付けを施した部分は水をはじくか残るのである。
そんな作品はまずバラバラに割れているケースが殆どで、
これから何十年ストックしても値打ちはでてこない。

また、土器ほど独りよがりになるものはない。
良いと思えばどんなものでも良いように見えてしまう。
アートな世界が勝手に広がるのだ。
だから徹底的に勉強して何が珍しいのか、
どのような文化のものが貴重なのか、
ということを掴み論理的に検証して蒐集することが大切である。