島津法樹さんのコラム
初出は「ハイハイQさんQさんデス」(http://www.9393.co.jp/)に
2004年8月から2005年11月まで連載された「損する骨董得する骨董」です。
第51回
商品学(ベトナム編)
7.ベトナム陶磁II―僕が見つけた宝の山II


なんだかんだと言っているうちに
5ヶ月ほどで僕の安南茶碗のストックは
7、80点くらいになって、資金の方も幾分窮屈になってきた。
「もう誰にでも売ってくれ」とギブアップすると
値段が一挙に下がってしまった。
傷物は論外だが1碗7、8万円くらいまで下がってしまった。
(バンコクでの話し)

僕はじっと持ちこたえた。
古陶磁の値段は予想できないけれども
人気の安南絞手茶碗だ、
いずれ値上がりするだろうと思っていた。
1年、2年と過ぎたが、なかなか買値に近づかない。
その間にも2、30点ほど買い足した。

そうこうするうち、ベトナムからの陶磁器の持ち出しが
厳しく制限されるようになり、
ベトナム陶磁の入手が非常に難しくなってきた。
その間アセアンの2、3の国の外交官が
ベトナムから古陶磁器を持ち出して、
本国に通報されるという事件も起こったりした。
それほどベトナムでは
古い陶磁器や骨董品の
保護をしなければならない事情があった。
その頃から安南茶碗の値段が上向き
バンコクで1碗15〜20万するようになってきた。
それを見計らって僕は積極的に売って出た。
ぼろ儲けは出来なかったが何とか商売にはなった。

そんなベトナム陶磁のアップダウンを経験しながら
15年が過ぎた。
昨今コンディションの良い安南絞手茶碗などは
まったく見当たらなくなった。
今手元にかつて選んだ茶碗があれば、
かなり良いビジネスになっただろうと思っている。
茶碗だけではなく、香合や花生水指など
かつて我国の茶人が渇望していたような
道具類が沢山あったのだ。
やはり我国では茶の湯の道具が今でも人気なのだ。
しかし長い目で見るとしっかりと選んでおかないと、
この世界は先行き難しい面があることも考えられる。

 

15世紀 安南絞手茶碗