2016.12.24 曜変天目茶碗 

最近「なんでも鑑定団」で取り上げられ
中島誠之助氏が絶賛した曜変天目茶碗について
疑問を呈したいと思います。
識者の中には明らかな偽物
しかも出来として三流の偽物と言う人もいます。
私も番組を見ましたが
首を傾げざるを得ませんでした。
真贋のほどは確かなことは判りませんが
疑問点はいくつもあります。
まずナレーションの中で天目茶碗は
侘び茶のための道具と言っていますが
明らかに間違いで書院の茶の世界のものです。
のちに灰被りの下手な天目茶碗を侘び茶に
取り上げたということはありますが。
それはさて置き
①本来の建窯の胎土は鉄のような黒さを持つ
 ものですが
 高台の写真では表面が白く見えます。
 これは発掘されたものによく見られます。
 東山御物から出て三好家に伝世したものであれば
 当然使われており、
 高台はもっと黒く鉄のような肌に
 なっているはずですが。
②窯変部分は不自然で人為的に
 釉薬が掛けられたように見えます。
 酷似した茶碗がヤフオクに2点出品された
 との指摘もあります。
③中島氏は高台に彫られた「供御」の文字を
 当初は天皇に対するものだが、室町時代になると
 将軍にも向けられたものであると説明しています。
 あの文字は中国で作られた際に
 焼く前に彫られたものであり
 矛盾しています。
 因みに建窯の茶碗は高温で堅く焼き締まっており
 日本で彫られたことは考えにくいと思います。
④中島氏は伝来が信長・秀吉・家康と
 続いたならば国宝になっていたかも知れない
 とまで述べています。
 仮にそうであるとするならば
 鑑定価格が2500万という数字はどうなのか
 2桁は違うのではないでしょうか。

発掘品に釉薬を掛けて二度焼きしたものではないかと
いった見方もあります。
いずれにせよ素人同然の私の眼からしても
いくつもの疑問点があるのにも拘わらず
世間は持て囃し、日経にまで取り上げられる始末。
日経はテレビ東京の親会社でもあるのでしょうが。
今年同じ番組で中島氏は「井戸茶碗」を本物と断定したのち
数週間後、間違いを認めたということもありました。
長寿番組でもあり世間一般の人は信じ込む要素が
強いだけに警鐘を鳴らしたいですね。
仄聞するところに依ると
中島氏は番組のうえでのパーフォーマンスだけで
実際には何カ月も前から各分野のの専門家による
鑑定を経ているとのことですが
それなら尚更
この程度のものにあれほど大げさな物言いをするのか
疑問が深まりますね。

この稿は飽くまでも私見に過ぎません。