いよいよこのコラムも最終回に近づきつつあります。 骨董歴約40年を振り返ってみると、 コレクターの中でも必ず得をする人と損をする人がいました。 得をする人は、不思議なセンスを持っています。 持って生まれた天恵のようなものを更に磨き上げた結果のようです。 そんな人は何人かで同じものを見ていても、 選ぶポイントがどこか違っている。 センスのよい人が集めるものは、そのジャンルの専門でもないのに ドキッとするような名品をコレクションしていることもままある。 一芸に通じればすべてに通じる、ということだろうか? 中には骨董商の僕でさえ思わず 「欲しいなー」と思うような作品があります。
骨董はそれぞれこの世の中に一つしかないものですから、 時間さえかければおおよそ値上がりするのは間違いありません。 しかし、コレクションは 出来るだけよいものを選ぶことが大切です。 それは時間の経過を待たずとも 価値を維持することが可能だからです。 上記した骨董センスについて具体的に考えて見ましょう。
センスがよい人は例外なく、 話し上手と言うよりは聞き上手なところがあります。 そして骨董でも服装や車でも、 じっくりと観察し自分にあったものを選んでいます。 こんな風に考えてゆくと、 骨董を見る目と言うのは生活の中でも生きていることのようです。 おおよそこの事についてわかっていただけたと思いますが、 『損をしない』、『得をする』骨董収集と言うのは 自分のセンスを磨きだすことです。 骨董を通じて自らを磨きしっかりとした目を養うことが、 必ず得をする骨董収集の第一歩でありすべてなのです。
私の知っている限りセンスが良くて、 生活に困っている人はいない。 それは運や偶然ではないようだ。 逆にセンスが悪くて、苦しみぬいている人は山ほどいる。 この現実は何なんだろう。
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