古美術品を売買することはきわめて難しい。 株や不動産のような専門的なアドバイザーもいない。 購入、売却などに際しても日本には、 海外のような大規模なオークション会社がない。 小規模で閉鎖的な『市』があるだけだ。 それらは業者だけを対象にして 一般の人の参加は殆ど認めていない。 しかし、近年カタログ・オークションや インターネット・オークションの成長が著しいことから、 骨董を含む新しい形態の美術市場が生まれるだろう。
さて、国内の美術品市場はこの15年ほど極めて低調であった。 しかし、重い足取りではあるが少しずつ改善されつつある。 2004年度の国内美術品オークション主要8社の取扱高は 149億円と言われている(「月間美術」による)。 それは2003年度と比べると、実に45%も伸びている。 さらに各地で催されている 大小さまざまな美術品市場の売買高も増えていると聞く。
この項では、投資としての骨董を考えるということなので、 いま少し実務的な面で説明を付け加える。 これだけ大きなマーケットが生まれつつあるのに、 前記したように美術コンサルタント(アドバイザー)がいない と言うのは不合理だ。 このあたりを担っているのが骨董屋の一つの役目だ。 しかし骨董屋や美術品取り扱い業者は 投資面でのアドバイスを殆どしていない。 またコレクターもそのような視線で骨董を見ていない。 美や道具、あるいは心の糧という点に重きを置き、 投資的な視線を避けている。
反面、外国の骨董収集家は 投資という側面を常に心がけているから、 売買に対しては非常にクールな面がある。 骨董市場にも近いうち古美術アドバイザーが 必要不可欠になるだろう。 この職業はインテリジェンスがあり、 若者があこがれる職業の一つになるだろう。 豊かな先進国ほど美術市場は大きくなる。 これからは競売物件などにも美術品がかなり絡んでくるから、 市場は拡大していくことだろう。
「この作品を買っておけば、 10~20年後に資産としても有利ですよ。」 という骨董や美術の傾向を見出すプロが必要なのだ。 そうすれば市場は活気付き、投資としても方向が決まってくる。
(この項続く・・・・・)
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