島津法樹さんのコラム
初出は「ハイハイQさんQさんデス」(http://www.9393.co.jp/)に
2004年8月から2005年11月まで連載された「損する骨董得する骨董」です。

第174回

儲かる骨董-実行編
9、ニュービジネスのすすめ、骨董美術コンサルティング
12世紀高麗青磁白黒象嵌瓶

古美術品を売買することはきわめて難しい。
株や不動産のような専門的なアドバイザーもいない。
購入、売却などに際しても日本には、
海外のような大規模なオークション会社がない。
小規模で閉鎖的な『市』があるだけだ。
それらは業者だけを対象にして
一般の人の参加は殆ど認めていない。
しかし、近年カタログ・オークションや
インターネット・オークションの成長が著しいことから、
骨董を含む新しい形態の美術市場が生まれるだろう。

さて、国内の美術品市場はこの15年ほど極めて低調であった。
しかし、重い足取りではあるが少しずつ改善されつつある。
2004年度の国内美術品オークション主要8社の取扱高は
149億円と言われている(「月間美術」による)。
それは2003年度と比べると、実に45%も伸びている。
さらに各地で催されている
大小さまざまな美術品市場の売買高も増えていると聞く。

この項では、投資としての骨董を考えるということなので、
いま少し実務的な面で説明を付け加える。
これだけ大きなマーケットが生まれつつあるのに、
前記したように美術コンサルタント(アドバイザー)がいない
と言うのは不合理だ。
このあたりを担っているのが骨董屋の一つの役目だ。
しかし骨董屋や美術品取り扱い業者は
投資面でのアドバイスを殆どしていない。
またコレクターもそのような視線で骨董を見ていない。
美や道具、あるいは心の糧という点に重きを置き、
投資的な視線を避けている。

反面、外国の骨董収集家は
投資という側面を常に心がけているから、
売買に対しては非常にクールな面がある。
骨董市場にも近いうち古美術アドバイザーが
必要不可欠になるだろう。
この職業はインテリジェンスがあり、
若者があこがれる職業の一つになるだろう。
豊かな先進国ほど美術市場は大きくなる。
これからは競売物件などにも美術品がかなり絡んでくるから、
市場は拡大していくことだろう。

「この作品を買っておけば、
 10~20年後に資産としても有利ですよ。」
という骨董や美術の傾向を見出すプロが必要なのだ。
そうすれば市場は活気付き、投資としても方向が決まってくる。

                 (この項続く・・・・・)