島津法樹さんのコラム
初出は「ハイハイQさんQさんデス」(http://www.9393.co.jp/)に
2004年8月から2005年11月まで連載された「損する骨董得する骨董」です。
第75回
商品学(ラオス編)
2. 仏像(II)−誰でも出来る病院経営


むちゃくちゃ汚れているのだが、
子供達は皆本当にきれいなつやつやとした肌をしている。
いくつかの村を回ったが、
どこに行っても一人もアトピーの子供に出会わなかった。
ここはアトピーの大敵紫外線も
日本とは比較できないほど強烈だ。
僕など初めのころ、この辺りを一日歩き回っただけで
顔や腕の皮が3回も剥けた。

彼らは埃も山ほど吸っている。
何しろ犬とつかみ合い、
軍鶏鳥はあちこちでバタバタ、家の中まで入ってくる。
ダニや虱はわんさか行列組んでやってきて、
あちこち子供達の髪の毛に取り付いているのだ。
でもアトピーはいない。
皆穏やかな仏様の顔をしている。

僕も2月スギ花粉が立ち込める日本を
グシュグシュべそべそしながら出発したのに、
ここに来た途端ケロッと直っている。
マラリヤに追われ、ドンドン高いところに移住した
マヤやモン族の人たちのように、
将来農薬、排気ガス、騒音や人間関係のストレスで
日本人は自然一杯のここへ(ラオス)
逃げてくるようになるかもしれない。
それもそんなに遠い日ではないだろう。

いやもう始まっているのかもしれない。
リゾートライフというヤツだ。
自然回帰。
夜には明かりのない星の下でゆっくりすごそう。
オゾン一杯の良い空気に包まれて、
と言うキャッチフレーズなどはそのはしりだろう。

狭い日本を開発しまくって便利さを追い求め、
自らの住むところと安全な空気や水を失っているのだ。
何しろこれだけ国民病とさえ言われるほどの
杉、ヒノキ花粉症が多くの人を蝕んでいるというのに、
まだ補助金を出して農水省は杉を植えさせているのだから。
緑地を確保する為に植林するのなら、
ラオスの山奥を見て欲しい。
誰も植林などしていない。
ほったらかしで山は十分に緑の木々を育んでくれる。
なまじ売れない杉を植林して弱々しい林を作るから
色々な悩みも出てくるのだ。

骨董屋を止めたら
アトピーや、ストレスの塊のような人達を案内して
アドベンチャーツアーを組んでみたい。
空気と水の美しい東南アジアの秘境へ皆さんを案内すれば
きっと何か良い答えが見つかるように思う。
しかし今のところ骨董商売も忙しいので
こんな場所がありますよ。
という紹介にとどめたい。

骨董から話がそれてしまったが、
清潔なこと、便利なことと健康は関係ないのかも。
仏様だけがその秘密を知っている。

 


 
 
とても美味しいラオスのご馳走
コウロギ、ゲンゴロウ、シロアリetc.