世界のリッチマンに共通する一面がある。 それは必ず不動産とかかわっていることだ。 アジアの国々がこの頃日本と良く似てくることも 共通性があるように思う。
インドネシアについて言えば、 以前は広くて立派な道路を作っても 通行料をとるようなことはしなかった。 それがこの頃では大した道路ではないのに 新しく作られる道は殆ど有料道路となっている。 しかもあちこちに料金所を作り、 金を徴収するので道路が混み合っている。 聞くところによると 建設、運営etc.の利権が有力者に握られているからだという。
こんなことはヨーロッパやアメリカにはない思想だ。 日本の悪しきノウハウが移転した結果だろう。 嘗ての宗主国オランダの都市づくりは 十分な道幅を取り、環境を保護し、通行は無料 という原則が貫かれていた。 しかし今日インドネシアの道路作りは 日本の高速道路作りをまねた 「せこく金をとって、利権を得る」 という構造になっているようだ。 そんな利権にぶら下がっているインドネシアの人達は みな金持ちだ。 この階層が骨董を楽しんでいるので悪口はいえない。 僕もいくぶんおせわになっている。
人口2億4千万のインドネシアの富の85%くらいを、 1%に当たる20~30万人くらいの人々が持っているらしい。 僕が知り合いのラルフさんはそんな特権階級の人だった。 彼はサルベージや金融、ホテル、建設業など 手広く事業をやっている。 オランダ系の血が流れているのか、 顔立ちは西洋人そのものだった。 そんなハンサムな彼に惹かれて、 大統領ファミリーの娘が彼と結婚した。 そこから彼の事業はどんどん膨れ上がったのだ。 セレベス島、ウジュン・パンダンは インドネシアで古陶磁が最も多く出土するところだ。 中国、ベトナム、タイ、日本の伊万里なども出てくる。 そんなわけで僕も足をのばしてこの地で度々仕入をする。 ここはオランダ植民地時代に城砦を築き、港を整備した、 東インド会社の一大拠点だった。 つい近年まで港には当時の建物が立ちならび、 往時の佇まいが残っていた。
17,18世紀の建物が並ぶ狭い通り。 海に沈む黄金色の夕日は ちょっとした世界遺産よりはるかにロマンチックだった。 あるとき僕の取引先のハピットさんに 「ここでカフェでもやれば儲かるのと違う?」と提案した。 「こんな古い倉庫街しょうがないよ。 アンタがやるなら持ち主知ってるから紹介しようか?」 とまで言われた。 1500平方メートルくらいの古い倉庫付土地が 24、25年前の話だが、5~6万ドルだといっていた。
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