島津法樹さんのコラム
初出は「ハイハイQさんQさんデス」(http://www.9393.co.jp/)に
2004年8月から2005年11月まで連載された「損する骨董得する骨董」です。

第164回

転がっている観光資源の発掘―地方の活性化!
源内焼英文字皿(江戸中期)

僕は集まった源内焼を利用して
事業を起こすことができないかと考えた。
思いついたのは高松の栗林公園での小判ザメ商法でやる美術館だ。
源内は四国高松藩士でその出身は志度だ。
しかし志度には源内の生家があり、
記念館が出来ているので、そこでは競合してしまうため不可能だ。
それになんといっても観光客が少なく、採算が取れない。
栗林公園近くのこじんまりした建物を借りて、
源内美術館をやればいけるのではないかと思った。
入場料は無料でも、100円~200円ほどとってもいい。
栗林公園に入る観光客の2,3割くらいの人を誘導できれば、
商売は後から付いてくるだろう。
そう思い立ち現地へ行って調査をした。

栗林公園の入場者数は平成16年度年間50万人だそうだ。
その2割の人を引きつけるインパクトが
果たして源内にあるだろうか。
とこんな風に考えもした。
50万人 X 0.2 X 200円 =(捕らぬタヌキ)

四国高松の観光はかなり特殊なようだ。
個人客がバラバラと来るのではなく、
観察したところ、バスでドッと来て、
しばらくするワッと引き上げていくスタイルだ。
だからバス会社とタイアップしなければならない。
客は公園の中だけ放し飼いだから、
どの顔もまだ少々消化不良気味と見た。
もう少し面白いものを見たい。
買い物をしたい。
うまいものでも試食したい。
と言うような顔をしている。

以前には公園内に動物園があったらしいが
遠いところから高松まで来て象やライオンを見てもしょうがない。
パンダかマンモスでもいれば別だが。
内向きか外向きかをはっきりとさせる必要がある。
その点、源内をテーマにすればかなり外向きになると思った。
入館料を200円くらいにして、バス会社に還元することにすれば、
栗林公園入場者の2,3割くらいの人を
誘導してくれるように思えた。
何しろバス会社に年間2000万円のマージンが渡せるのだ。

後はその美術館でみやげ物、讃岐うどん、
源内が作った高級レプリカの販売など、
幾らでもアイデアがわいてくる。
高松にはあまり観光地として魅力的なものは無いようだ。
公園の周りもうどん屋ばかりで、やや過当競争気味だった。
なんとなくうどんのだしが匂っている。
栗林公園の周りにいま少し集中して、話題のある施設を作ると、
ビジネスとして成り立つように思えた。

このビジネスは収支がトントンでよい。
コレクションの源内焼は美術館のアプローチで必ず値上がりする。
長い間には結構な利益になるだろう。
不動産の値上がりと同じ手法だ。
誰か美術館をやりませんか。いい投資ですよ。
こんなケースは地方に幾らでも転がっているように思う。