ミャンマーは1886年にインドに併合されて 完全なイギリスの植民地になった。 第2次世界大戦が終わるまで 長いイギリス統治が行われたのだ。 イギリス人はミャンマーにあった秘宝、 世界一大きなルビーを仏像の額からはずし持ち帰ったり、 ヤンゴンの寺院の大瓶をはずして 本国へ運ぼうとして川に落としてしまったりしている。 素晴らしい美術品の数々がイギリスに渡ってしまったようだ。 しかし、彼らも多くの美術品をミャンマーに残している。 そんな事実は殆どのプロの運び屋も気づいていない。
インドを植民地にしたイギリス人は すばらしい白大理石をミャンマーに運び 様々な像や家具を作らせた。 そしてそれらを彼らの住む大邸宅や庭園に飾り楽しんだ。 ブロンドの美しい女神像、ライオンや様々な動物、 ギリシャ彫刻を真似たポセイドンすら彫らせている。 家具にいたっては天板に厚さ5センチほどの 1枚板の透き通るような大理石でテーブルを作っている。 円柱に美しい花を深く彫りこんだ噴水などは 今作らせればかなりな支払いを覚悟しなければならない。 安い人件費で優秀なアーティストを総動員して作られたと思う 大理石彫刻がぼちぼちミャンマーの骨董店に出回っている。
この国の大理石彫刻の素晴らしさは 世界的に有名なタージマハールを作った国の材料や アーティストをすぐ横に控えているのだ。 しかもミャンマー自体白大理石や白玉を 豊富に産出する国であるから多くの石工を抱えている。 イギリス人が好んだ彫刻は 昨今の日本人の趣味にピッタシと合うはずだ。
今マーケットに出回りつつある大理石の胸像は 200年位前の作品だから、 表面の古色も頃合で古美術品としての値打ちもある。 高級インテリア、エクステリアとしての需要は ずいぶんあるように思う。 真剣に探せばイギリス人は熱帯のミャンマーにおいてさえ 家の中に暖炉を作るほどの保守的な人々だ。 かなりな数の大理石像があるように思われる。
《本物の見分け方》 本物は 1、手で触ってみて表面がざらつかず、非常に柔らかい感じがする。 (新しいものはザラットして手に引っかかる) 2、表面を斜めから見ると鑿ではつったような ツール痕が全体に見られる。 (新しい物はサンドペーパのようなもので 刷り上げて表面を滑らかにしている) 3、古色(パティナ)が表面の下へくい込んだように染みている。 自然な色合いでなければならない。(染めるケースもある)
諸君健闘を祈る。
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