ジャジャ~ン! 今これほど期待が持て楽しい骨董のジャンルはない。 インドで生まれた仏教は 始め仏陀を菩提樹や聖壇で表した。 紀元1世紀ごろガンダーラにおいて 始めて仏陀を人間で表現した。 仏教はさまざまな発展過程を経て、 ネパールやチベットに伝わった。 そこでは鋳金によるラマ教の諸尊像がつくられた。 諸尊像の時代ごとの様式を述べてみよう。
古いものは11~13世紀ごろのもので、 鍍金が残っているものは少なく ブロンズの肌が赤黒く光っている。 耳飾りや複雑な装飾部分には、わずかに鍍金が残っている。 顔立ちもインド人にそっくりで目が非常に大きい。 観音像などは胴部分が括れ、腰が大きく肉感的である。 この時代のものは遺品も少なくとても高価である。
14、15世紀になると 菩薩像などは幾分東アジア的になり、 馴染み易い顔立ちになる。 これはモンゴルやそれに続く明の影響が チベットやネパールにまで伝わったからだ。 像は多臂多顔となりそれに動きが加わってくる。 円空仏に代表される素朴な造詣の対極の像である。 人間の技巧がこれほど繊細に注意深く展開された仏像は 他に類を見ない。 それ故素直に美しいと感じてしまう。
チベット・ネパール仏の専門家は日本にはまだ少ない。 これから骨董屋をやるなら このジャンルを徹底してやってみれば道は開けるだろう。 もちろん僕もやる。 それに秘密だが中国のあるところから かなりな数がまだ出てくるみたいだ。 一度クリスティーズやサザビーズの Indian & Southeast Asian
Arts 部門を 覗いてみることをお薦めする。 コレクターの立場から見ても 距離が離れているだけにエキゾチックで インテリジェンスを刺激するアイテムだ。
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